JIA建築家大会 2015金沢

大会テーマ

21世紀最初、2001年の大会は金沢でした。テーマは「建築家・新世紀」、20世紀が産業革命、地球開発、戦争の世紀であったのに対し、21世紀はまったく異なる様相の世紀と予測し、そうした世界的変化の中で、私たち建築家が果たすべき役割にも大きな転機が訪れるだろうと考えました。

あれからもう14年、いやまだ14年も経たない間に、大きな災害にも見舞われその復興もままならない中、経済的にも政治的にも混沌とした様相を呈し、いろいろな問題が噴出しています。建築を取り巻く環境も大きく変わり、予想に違わず私たち建築家に大きな転機が訪れています。

将来に向かっていろいろな問題を解決するには、私たち建築家個人やJIAだけでは無理があるようです。社会、地域に住む人たちを巻き込み、いろいろな団体に所属する人たちと共に考え、行動する必要が生じています。こういう状況を踏まえて「JIA建築家大会2015金沢」の大会のテーマを考えました。

大会テーマ みんな力 ともに在る社会へ

テーマ趣旨

1.震災を超えて日本社会が向かうべき道を考える

グローバル経済が進行する現代社会では様々な格差が生じている。(富めるものとそうでないもの、中央と地方、大企業と中小企業、官と民等々)グローバル企業が栄えて地域や国民が衰退しているとも言える。果たしてそういった社会でいいのだろうか?もともと日本は立場を超えて助け合う共助の社会であったのではないだろうか。日本という島国の中で長い時間を掛けて培ってきた「みんなでいっしょに歩める社会」の在り方を再考したい。

2.今の時代に求められる建築家像を提示する

変貌する社会と人々の価値観を考えたとき、従来の古い建築家像に基づいた建築家職能理論(プロフェショナル論)は社会にそのまま受け入れられることはないであろう。私たちは社会の啓蒙者として位置付けた職能論を封印し、地域の人たちといっしょになって考え行動する伴走者であるという新しい職能論に立たなくてはならない。市民と共に歩む「建築家像」を社会に提示したい。

3.建築界の向かうべき道を考える

若い世代が建築に魅力を感じておらず、建築に従事する若者が激減している。「安け ればいい」という社会的風潮が建築界も直撃してきたといえる。設計に関わる人々の業務環境の改善は必要不可欠である。また、地方においては独自の高い技術を持った職人が消えかかっている。このような技術を継承していく機会をつくるのも建築家の使命である。建築を創ることに夢を託せるような業態づくりに、建築家は地域をみつめ、地域の技を継承する職人を含め全ての建築づくりの仲間といっしょに歩んでいく姿勢を示す機会としたい。

4.社会に拓かれた大会

本大会をJIAの内なる大会に終わらせてはならない。同じ建築界の仲間はもとより、市民・県民を巻き込み、広く社会に拓かれた大会としたい。そのため全てのプログラムを市民・県民に公開し、その内容を通して新しい建築家像を示したい。

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